🏡住宅ローンの「5年ルール・125%ルール」とは?将来の金利上昇にどう備えるべきか【不動産仲介の視点で解説】
1. はじめに:住宅ローン、金利で人生が変わる?
長年、住宅ローンの金利は歴史的な低水準が続き、「変動金利型」の人気が高い状況でした。
その理由はシンプルで、初期の金利が圧倒的に低く、月々の返済負担も軽く見えるからです。
しかし、春に変動金利が上昇したのを受けて不動産仲介の現場でお客様と接していると、「金利が上がったらどうなるの?」「変動金利って本当に安心なの?」といったご不安の声も多く聞かれます。
そんな中で注目されているのが、「5年ルール」「125%ルール」という変動金利特有の仕組み。
このルールがあることで金利上昇時の返済額に制限がかかる一方、将来的なリスクも抱えているのです。
2. 「5年ルール」「125%ルール」とは何か?
- 5年ルール:変動金利型では半年ごとに金利が見直されますが、返済額は原則5年間据え置かれます。
- 125%ルール:5年後に返済額が見直された場合でも、増額は最大1.25倍までに制限されます。
例えば、毎月10万円返済していた人は、見直し後も最大で12.5万円までしか増えません。
つまり、急激な返済額の上昇を抑える安全装置とも言えます。
3. ルールがある vs ないでどう違う?
ルール「あり」の場合:
- 月々の返済額が急に増えず、家計へのインパクトが抑えられる
- ただし金利が上昇しても返済額が変わらないため、利息の支払いが追いつかず未払い利息が発生する可能性も
- 結果として元本が減らず、完済が長引くリスクがある
ルール「なし」の場合:
- 金利が上がると即座に返済額に反映される
- 短期的な負担は大きくなるが、元本はしっかり減っていく
- 返済計画は読みやすく、安心感がある
4. 金利上昇時の影響を比較シミュレーション
前提条件:
借入額:3,000万円/返済期間:35年/金利:0.5% → 2.0%に上昇/元利均等返済
ルールあり:
- 返済額はすぐに増えず、5年間は据え置かれる
- 見直し時も最大1.25倍まで
- ただし利息が膨らみ、元本があまり減らない
ルールなし:
- 金利上昇と同時に返済額が上昇
- 家計への負担は増すが、元本は確実に減る
5. 不動産仲介業者として伝えたい住宅ローン選びの考え方
ここで、「変動金利」と「固定金利」の特徴を見てみましょう。
▶ 目先の返済額を抑えたいなら「変動金利」
- 初期金利が低く、月々の支払額が少ない
- 5年ルール・125%ルールにより返済額の上昇が抑制される
- 将来の金利上昇リスクは潜在的にあり
▶ 金利変動リスクを避けたいなら「固定金利」
- 毎月の返済額が一定で、計画が立てやすい
- 将来的な金利上昇の影響を受けない
- 借入時の金利は高めになる傾向
6. 仲介の立場で注意すべきポイント
- 今の返済額だけでなく、将来の変動も見越して説明する
- お客様のライフプランや収入の変化にも配慮
- 住宅ローンは「家選び」と同じくらい大切なテーマ
7. まとめ:制度と金利タイプを理解して後悔しない住宅購入を
- 5年ルール・125%ルールは一見安心でも、将来の負担増に注意
- 変動金利か固定金利かは「優劣」ではなく「相性」
- 仲介として「暮らしの全体設計」まで寄り添う提案を
8. よくある質問Q&A
Q:ルールは誰でも適用される?
A:金融機関によって適用の有無が異なるため、事前に確認が必要です。
Q:変動金利から固定金利に途中で切り替えられる?
A:可能ですが、条件変更手続きや手数料が発生するケースが多いです。