【癖あり物件シリーズ④】事故物件・心理的瑕疵物件が売りづらい本当の理由

公開日:

カテゴリー: 不動産売却に関するご相談と重要ポイント  タグ:  | | | | | | | |

「相続した実家で、以前に孤独死があったと聞いて…」

「自殺があった物件だから、売却は無理だと言われました」

「事故物件って、どこまで告知しなきゃいけないの?」

こんなお悩みを抱えて、私のところにご相談にいらっしゃる方が少なくありません。

事故物件・心理的瑕疵物件。

癖あり物件の中でも、最も売りづらいと言われる物件です。

「事故物件だから売れない」と諦めていませんか?

確かに、事故物件・心理的瑕疵物件は非常に売りづらいのが現実です。でも、売りづらい理由をきちんと理解すれば、対応が見えてきます。

今回は、なぜ事故物件・心理的瑕疵物件が売りづらいのか、その本当の理由を詳しく解説していきます。


事故物件・心理的瑕疵物件とは?

まず、基本的なところから確認しましょう。

心理的瑕疵とは

「心理的瑕疵」とは、物件自体に物理的な欠陥はないけれど、買主が心理的に抵抗を感じる事情がある状態のことです。

「ここに住むのは嫌だな」と感じさせる要因がある物件、と言えばわかりやすいでしょうか。

どんなケースが該当するのか

1. 自然死以外の死亡事故

  • 自殺
  • 他殺(殺人事件)
  • 事故死(火災、転落など)
  • 孤独死で発見が遅れたケース

2. 自然死でも告知が必要なケース

  • 発見が遅れて特殊清掃が必要だった
  • 長期間放置されていた
  • 臭いや汚れが残った

3. その他の心理的瑕疵

  • 近隣で重大事件があった
  • 過去に火災があった
  • 暴力団事務所が近くにある
  • 墓地・火葬場が近い(ケースによる)

告知義務のガイドライン(2021年改正)

2021年に国土交通省が「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」を策定しました。

国土交通省のガイドライン

  • 自然死・日常生活での不慮の死(転倒、入浴中の事故など)→原則告知不要
  • 自殺・他殺・孤独死で特殊清掃が必要だった場合→告知必要
  • 賃貸:おおむね3年間は告知必要
  • 売買:期間制限なし(買主の判断に影響する事実は告知すべき)

ただし、実務では…

ガイドラインはあくまで「目安」です。

訴訟リスクを考えると、告知した方が安全です。

「知っていたのに隠した」となれば、契約不適合責任を問われます。

損害賠償請求や契約解除に発展する可能性があります。

あなたの物件に心理的瑕疵があるかどうか、まず整理することが必要です。


なぜ大手不動産会社は扱いたがらないのか?

「大手不動産会社に相談したら、『うちでは難しいです』と断られました」

事故物件・心理的瑕疵物件の相談では、こうしたケースが非常に多いです。

なぜ大手は扱いたがらないのでしょうか。

理由1:ブランドイメージへの影響

大手不動産会社は、「事故物件を扱っている」というイメージを避けたいのです。

企業コンプライアンス、CSRの観点から、「クリーンな会社」でありたい。

事故物件を積極的に扱うことは、ブランドイメージに影響すると考えています。

理由2:説明責任とトラブルリスク

告知義務の範囲が難しく、「どこまで説明すればいいのか」の判断が曖昧です。

後から「聞いてない」というクレームが発生するリスクがあります。

訴訟リスクも高く、担当者が責任を負いたくないのです。

大手ほど、リスクを避ける傾向が強くなります。

理由3:売却に時間がかかる

事故物件は、買主がなかなか見つかりません。

内見しても、成約に至らないことが多いです。

回転率が悪い=非効率な物件として、敬遠されます。

理由4:価格交渉が厳しい

買主は事故物件を理由に、大幅な値下げを要求してきます。

一方、売主は「そこまで安くしたくない」と抵抗します。

このギャップの調整が難航し、時間がかかります。

つまり、あなたの物件が悪いのではなく、大手のリスク管理とビジネススタイルに合わないのです。


事故物件・心理的瑕疵物件が売りづらい7つの理由

では、なぜ事故物件・心理的瑕疵物件は売りづらいのか。

その理由を、一つひとつ詳しく見ていきましょう。

理由1:買主の心理的抵抗が非常に大きい

これが最も大きな理由です。

「住みたくない」という感情

自分や家族が住むことへの抵抗感。

「縁起が悪い」「怖い」という感情。

特に日本人は、心理的瑕疵に非常に敏感です。

マイホーム購入層はほぼ対象外

夢のマイホームに、わざわざ事故物件は選びません。

家族が反対します。

「他にもたくさん物件はある」と考え、別の物件を探します。

説明しても心理的ハードルは消えない

「事故から何年も経っています」

「特殊清掃も完璧に終わっています」

こう説明しても、心理的なハードルは非常に高いのが現実です。

理由2:価格が大幅に下がる

事故物件・心理的瑕疵物件は、相場より大幅に安くなります。

自殺・他殺の場合、特に影響が大きいです。

立地が良くても、心理的瑕疵で評価が下がります。

想定の半額以下になることも珍しくありません。

「事故の内容」によって、下落幅が変わります。

理由3:買主が極端に限定される

住みたくない人が大多数なので、買主は極端に限定されます。

現金購入できる投資家

  • 賃貸用として収益を重視
  • 心理的瑕疵よりも利回りを見る
  • ただし、利回りが良くないと見向きもされない

買取業者(事故物件専門)

  • リフォーム後に転売or賃貸
  • ただし、かなり安い価格を提示してくる

一部の個人(気にしない人)

  • 「安ければ気にしない」という層
  • ただし、市場では少数派

一般的なマイホーム需要には、全く届きません。

「駅近で環境も良いのに、誰も見に来てくれない…」

こうした状況が続くと、売主は絶望感でいっぱいになります。

理由4:告知義務違反のリスク

告知しなかった場合

契約不適合責任を問われます。

損害賠償請求、契約解除に発展します。

最悪の場合、訴訟になります。

「どこまで告知すべきか」の判断が難しい

ガイドラインはありますが、グレーゾーンも多いです。

「念のため告知した方が安全」となります。

でも、告知すると買主が離れていきます。

このジレンマが、売却を難しくしています。

理由5:近隣の噂・風評

事故があったことは、近隣住民が知っています。

口コミで広がります。

インターネット上の事故物件サイトに掲載されることもあります。

「隠しても後でバレる」リスクがあるのです。

理由6:賃貸に出す場合も告知必要

「売却できないなら、賃貸に出そう」と考える方もいます。

しかし、賃貸でも問題があります

  • 賃貸でも告知義務がある(おおむね3年間)
  • 家賃を下げないと入居者が見つからない
  • 管理会社も敬遠する
  • 空室リスクが高い

賃貸も、決して簡単ではないのです。


「売れない」わけではないが、売り方が非常に重要

ここまで読んで、「やっぱり売却は無理なのか…」と思われたかもしれません。

ただ、事故物件・心理的瑕疵物件でも、売却できるケースはあります。

私も、これまで事故物件・心理的瑕疵物件の売却をお手伝いしてきました。

しかし、正直に申し上げます。

売却難易度は、癖あり物件の中でもトップクラスです。

「高く売りたい」という希望は、ほぼ叶いません。

「早く売りたい」と思っても、時間がかかる覚悟が必要です。

重要なのは、以下のポイントです。

  • 買主層を正しく見極めること(投資家、事故物件専門業者)
  • 現実的な価格設定(相場より大幅に安くなる)
  • 事故の内容を正確に把握・説明
  • 事故物件専門の買取業者とのネットワーク
  • 投資家向けの販売ルート

事故の内容によって売却難易度が変わる

すべての事故物件が同じではありません。

比較的売りやすいケース

  • 自然死に近い孤独死(短期間で発見された)
  • 病死
  • 事故から時間が経過している(10年以上前など)

非常に売りづらいケース

  • 自殺(特に首吊り、飛び降り)
  • 他殺(殺人事件)
  • 孤独死で長期間放置され、特殊清掃が必要だった

でも、これが非常に難しい

「誰に売ればいいのか分からない」

「適正価格が全く想像できない」

「事故物件専門業者とのコネクションなんて、持っていない」

「どこまで告知すればいいのか分からない」

こうした疑問や不安があるのは当然です。

ここが、専門知識と経験、独自のネットワークが必須なポイントなのです。

一般的な不動産ポータルサイトでは売れません。

高すぎる価格では、永遠に売れ残ります。

告知の仕方も非常に重要です。

事故物件ならではの売却戦略が必要なのです。

事故物件こそ、経験豊富な不動産会社に相談することが非常に重要です。


こんな状況なら、特に注意が必要

以下のような状況に当てはまる方は、さらに売却が難航する可能性が高いです。

  • 自殺・他殺の物件
  • 孤独死で特殊清掃が必要だった
  • 事故から日が浅い(1年以内など)
  • インターネットの事故物件サイトに掲載されている
  • 近隣住民が事故のことを知っている
  • 急いで売却する必要がある(相続税の納付など)
  • すでに複数の不動産会社に断られた
  • 相場価格での売却を期待している
  • 告知義務の範囲が分からない

これらに当てはまる場合は、一刻も早く専門的な知識と経験を持つ不動産会社に相談することをおすすめします。

時間が経てば経つほど、選択肢は狭まっていきます。

(ただし、事故から時間が経過することで、売りやすくなる面もあります)


まとめ:事故物件・心理的瑕疵物件は、経験ある会社に相談を

事故物件・心理的瑕疵物件は、癖あり物件の中でも特に売りづらいです。

買主の心理的抵抗が非常に大きい。

価格が大幅に下がる。

買主が極端に限定される。

告知義務違反のリスクもある。

大手不動産会社が敬遠する理由も、はっきりとあります。

でも、「売れない」わけではありません。

大切なのは、事故物件を扱い慣れた不動産会社に相談することです。

私も

  • 事故物件・心理的瑕疵物件の売却をお手伝いしてきました
  • 事故物件専門の買取業者とのネットワーク
  • 投資家への販売ルート
  • 告知義務の適切なアドバイス
  • 物件の状況に応じた最適な売却プラン

「売りづらい物件だからこそ、経験と知識、ネットワークのある会社を選んでください。」

これが、私からのメッセージです。

こんな方は、ぜひご相談ください

  • 大手不動産会社に断られた
  • 事故物件だから売れないと言われた
  • 相続した実家で過去に孤独死があった
  • 自殺・他殺があった物件の売却を検討している
  • どこまで告知すればいいか分からない
  • 賃貸に出すべきか売却すべきか迷っている

まずは、お気軽にLINEでご相談ください。

次回は【癖あり物件シリーズ⑤】として、「借地権付き物件」について詳しく解説します。どうぞお楽しみに。