【癖あり物件シリーズ③】旧耐震マンション・一戸建てが売りづらい本当の理由

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「築40年以上の実家、旧耐震だから売れないと言われました」

「マンション、昭和56年以前の建物だから大手に断られて…」

「耐震基準を満たしていないって、どういうこと?」

こんなお悩みを抱えて、私のところにご相談にいらっしゃる方が少なくありません。

旧耐震物件。

地震への不安が高まる中、買主から敬遠されがちな物件です。

「旧耐震だから売れない」と諦めていませんか?

確かに、旧耐震物件は売りづらいのが現実です。でも、売りづらい理由をきちんと理解すれば、対応が見えてきます。

今回は、なぜ旧耐震マンション・一戸建てが売りづらいのか、その本当の理由を詳しく解説していきます。


旧耐震物件とは?

まず、基本的なところから確認しましょう。

旧耐震と新耐震の違い

境目となるのは、昭和56年(1981年)6月1日です。

  • この日以降に建築確認を受けた建物=新耐震
  • それ以前に建築確認を受けた建物=旧耐震

旧耐震基準

震度5強程度の地震で倒壊しない程度の基準。

比較的緩い基準でした。

新耐震基準

  • 震度5強程度:ほとんど損傷しない
  • 震度6強〜7程度:倒壊・崩壊しない

より厳しい基準に変更されました。

注意:築年数ではなく「建築確認日」

よく誤解されるのですが、築年数だけでは判断できません。

昭和56年以降に「完成」していても、建築確認が昭和56年5月以前であれば旧耐震です。

検査済証や建築確認通知書で確認する必要があります。

マンションと一戸建て、どちらも対象

旧耐震はマンションだけの問題ではありません。

一戸建ても同様に旧耐震・新耐震の区別があります。

戸建ての方が売却への影響が大きい傾向があります。

あなたの物件が旧耐震かどうか、まず確認することが大切です。


なぜ大手不動産会社は扱いたがらないのか?

「大手不動産会社に相談したら、『旧耐震は難しいですね』と言われました」

こんな経験をされた方も多いのではないでしょうか。

なぜ大手は旧耐震物件を敬遠するのでしょうか。

理由1:住宅ローンの審査が厳しい

金融機関が旧耐震物件に消極的なため、住宅ローンの審査が厳しくなります。

担保価値が低く評価され、融資条件も厳しい。

結果として成約率が下がる=大手にとっては効率が悪い物件なのです。

理由2:買主の不安が大きい

地震への不安が高まる中、買主は安全性を重視します。

「旧耐震=危険」というイメージが強く、「安全な家に住みたい」という心理が働きます。

いくら説明しても、心理的な不安は消えません。

大手の営業担当者も、この不安を払拭するのに時間がかかることを知っています。

理由3:リスクとクレーム

耐震性についての説明責任は重く、万が一の地震での責任問題も懸念されます。

大手不動産会社は、ブランドイメージを守るため、トラブルを避けたいのです。

理由4:価格交渉が難航

買主は旧耐震を理由に大幅な値下げを要求してきます。

一方、売主は「そこまで安くしたくない」と抵抗します。

このギャップの調整に時間がかかり、非効率だと判断されます。

つまり、あなたの物件が悪いのではなく、大手の営業スタイルに合わないだけなのです。


旧耐震物件が売りづらい6つの理由

では、なぜ旧耐震物件は売りづらいのか。

その理由を、一つひとつ詳しく見ていきましょう。

理由1:住宅ローンの審査が厳しい・金利が高い

これが最も大きな理由です。

金融機関の姿勢

旧耐震物件は、金融機関が融資に消極的です。

  • メガバンクはほぼ対応しない
  • 地方銀行・信用金庫も条件が厳しい
  • フラット35も旧耐震は原則対象外(耐震基準適合証明があれば可能だが、取得が困難)

融資条件のハードル

  • 借入期間が短い(築年数による制限)
  • 金利が高い
  • 借入額が少ない(担保評価が低い)
  • 頭金を多く求められる

結果:買主が限定される

  • 現金購入できる人
  • 厳しい条件のローンを組める人

市場が大幅に狭まってしまいます。

理由2:価格が大幅に下がる

旧耐震という理由だけで、相場より安くなります。

特に戸建ては影響が大きいです。

立地が良くても、築年数と耐震基準で評価が下がります。

「耐震補強工事の費用を見込んで」と値下げ交渉されることも多く、想定より大幅に安くなることが多いのです。

理由3:買主が耐震性を不安視する

地震大国日本

東日本大震災、熊本地震、能登半島地震…

日本では大きな地震が繰り返し発生しており、地震への意識が非常に高まっています。

買主の心理

  • 「旧耐震=危険」というイメージ
  • 家族の安全を最優先したい
  • 「新耐震の物件を探そう」となる
  • 特にマイホーム購入層は敏感

説明しても不安は消えない

「実際には倒壊していない旧耐震建物も多いんですよ」

こう説明しても、心理的なハードルは非常に高いのが現実です。

理由4:マンションの場合、管理組合の問題

旧耐震マンションには、建物自体の問題だけでなく、管理組合の問題もあります。

大規模修繕の負担

  • 築40年以上のマンション=大規模修繕が必要な時期
  • 修繕積立金が不足していることもある
  • 一時金の徴収や修繕積立金の大幅値上げ
  • 購入後すぐに大きな負担が発生する可能性

耐震補強工事の合意形成

管理組合で耐震補強を実施するには、区分所有者全体の合意が必要です。

  • 費用負担の問題
  • 工事期間中の不便
  • 意見の対立

合意形成が非常に難しいのが現実です。

空室・高齢化問題

築古マンションは住民の高齢化が進んでいます。

空室が増え、管理組合の機能が低下しているケースも。

「このマンション、将来大丈夫なの?」

買主がこの不安を抱くのは当然です。

理由5:耐震診断・耐震補強のハードル

耐震診断

  • 診断には費用がかかる(一戸建てとマンションで大きく異なる)
  • 診断しても「補強が必要」という結果になることが多い
  • 診断結果が悪いと、さらに売りづらくなる

耐震補強工事

  • 補強工事には相当な費用がかかる
  • 一戸建てもマンションも決して安くない
  • 「補強してから売る」は現実的に難しい
  • 費用をかけても売却価格に反映されないことが多い

耐震基準適合証明

これがあれば住宅ローン控除が使えるため、買主にとってメリットがあります。

でも、取得のハードルが高く、費用もかかります。

「売却前に耐震基準適合証明を取りましょう」と言われても、現実的には難しいのです。

理由6:一戸建ては建て替え前提になる

旧耐震一戸建ての現実

築40年以上の一戸建て=建物の価値はほぼゼロと判断されます。

「土地値」での売却になります。

買主は建て替え前提で検討します。

リフォームして住むという人は、少数派です。

解体費用の問題

解体費用は売主負担?買主負担?

この交渉が難航しやすいのです。

また、更地渡しにすると固定資産税が大幅に上がるという問題もあります。


「売れない」わけではないが、売り方が重要

ここまで読んで、「やっぱり売却は無理なのか…」と思われたかもしれません。

ただ、旧耐震物件でも、売却できるケースはあります。

私も、これまで旧耐震物件の売却をお手伝いしてきました。

しかし、正直に申し上げます。

一般的な売却方法では時間がかかる、または売れ残るのが現実です。

また、「高く売りたい」という希望は叶いにくいということも、お伝えしなければなりません。

重要なのは、以下のポイントです。

  • 買主層を正しく見極めること
  • 現実的な価格設定
  • 物件の状況に応じた販売戦略
  • 投資家や買取業者とのネットワーク
  • リフォーム業者・建築会社とのコネクション

マンションと一戸建てでは戦略が違う

マンション

  • 立地重視の投資家
  • 賃貸用として検討する層
  • 駅近・都心部は需要がある

一戸建て

  • 土地値での売却
  • 建て替え前提の買主
  • 解体業者・建築会社

でも、これが難しい

「どの買主層にアプローチすればいいの?」

「現実的な価格って、いくらなのか分からない」

「投資家や建築会社とのコネクションなんて、持っていない」

「マンションの管理組合の問題、どう説明すれば?」

こうした疑問や不安があるのは当然です。

ここが、専門知識と経験、ネットワークが必須なポイントなのです。

一般的な不動産ポータルサイトに掲載しても、反応は薄いでしょう。

高すぎる価格では売れ残ります。

かといって、安すぎる価格で売ってしまうのも問題です。

旧耐震物件ならではの売却戦略が必要なのです。

旧耐震物件こそ、経験豊富な不動産会社に相談することが大切です。


こんな状況なら、特に注意が必要

以下のような状況に当てはまる方は、さらに売却が難航する可能性が高いです。

  • 築45年以上の物件
  • マンションで修繕積立金が不足している
  • 空室が多い、高齢化が進んでいるマンション
  • 一戸建てで建物がかなり老朽化している
  • 急いで売却する必要がある(相続税の納付など)
  • すでに複数の不動産会社に断られた
  • 相場価格での売却を期待している
  • 耐震診断を受けていない(結果が悪いかもしれない)

これらに当てはまる場合は、一刻も早く専門的な知識と経験を持つ不動産会社に相談することをおすすめします。

時間が経てば経つほど、建物は老朽化し、選択肢は狭まっていきます。


まとめ:旧耐震物件は、経験ある会社に相談を

旧耐震物件は、確かに売りづらいです。

住宅ローンが厳しい。

価格が下がる。

買主が耐震性を不安視する。

マンションには管理組合の問題があり、一戸建ては建て替え前提になる。

大手不動産会社が敬遠する理由も、はっきりとあります。

でも、「売れない」わけではありません。

大切なのは、旧耐震物件を扱い慣れた不動産会社に相談することです。

私も

  • 旧耐震物件の売却をお手伝いしてきました
  • マンションも一戸建ても対応
  • 投資家や買取業者とのネットワーク
  • 建築会社とのコネクション
  • 物件の状況に応じた最適な売却プラン

「売りづらい物件だからこそ、経験と知識、ネットワークのある会社を選んでください。」

これが、私からのメッセージです。

こんな方は、ぜひご相談ください

  • 大手不動産会社に断られた
  • 旧耐震だから売れないと言われた
  • 相続した実家が築40年以上
  • マンションの管理組合に不安がある
  • 建て替え前提での売却を検討している
  • 早く売却したいが方法がわからない

まずは、お気軽にLINEでご相談ください。

次回は【癖あり物件シリーズ④】として、「事故物件・心理的瑕疵物件」について詳しく解説します。どうぞお楽しみに。