【癖あり物件シリーズ①】建蔽率・容積率オーバーの物件が売りづらい本当の理由

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カテゴリー: 不動産売却に関するご相談と重要ポイント  タグ:  | | | | | |

こんにちは八王子不動産売却エージェントの濱口です。

「増築した実家を相続したんですが、建蔽率オーバーって言われて…」

「大手不動産会社に査定をお願いしたら、『うちでは扱えません』って断られました」

こんなお悩みを抱えて、当社Room’sBar濱口にご相談にいらっしゃる方が少なくありません。

建蔽率・容積率オーバーの物件。いわゆる「違法建築」と言われる物件です。

「違法建築だから売却は無理」と諦めていませんか?

確かに、建蔽率・容積率オーバーの物件は売りづらいのが現実です。でも、売りづらい理由をきちんと理解すれば、道は開けます。

今回は、なぜ建蔽率・容積率オーバーの物件が売りづらいのか、その本当の理由を詳しく解説していきます。


建蔽率・容積率オーバーとは?

まず、基本的なところから確認しましょう。

建蔽率とは、敷地面積に対する建築面積(建物を真上から見たときの面積)の割合のことです。

容積率とは、敷地面積に対する延床面積(各階の床面積の合計)の割合のことです。

それぞれの土地には、都市計画法や建築基準法によって「建蔽率○%まで」「容積率○%まで」という制限が設けられています。

なぜオーバーしてしまうのか?

建蔽率・容積率がオーバーしてしまう理由は、主に以下のようなケースです。

1. 過去の増築

  • 1階部分にサンルームを増築した
  • カーポートを後から設置した
  • 2階を増築して部屋を増やした
  • バルコニーを拡張した

「ちょっとだけ」「これくらいなら大丈夫だろう」という気持ちで増築したら、実は建蔽率・容積率をオーバーしていた…というケースが非常に多いです。

2. 法改正による既存不適格

  • 建築当時は適法だった
  • その後の法改正で基準が厳しくなった
  • 結果的に現在の基準ではオーバーしている

この場合は「既存不適格」と呼ばれます。

3. 建築時からの違反

  • 建築確認を取らずに増築した
  • 確認申請と異なる建物を建てた

これは完全な「違反建築」です。

「既存不適格」と「違反建築」の違い

既存不適格は、建築当時は適法だったものが、法改正によって結果的に現在の基準に合わなくなったもの。比較的問題が少ないケースです。

違反建築は、建築時から法律に違反していたもの。こちらはより慎重な対応が必要です。

あなたの物件はどちらに該当するのか、まず把握することが大切です。


なぜ大手不動産会社は扱いたがらないのか?

「大手不動産会社に相談したら、断られました」

こんな経験をされた方も多いのではないでしょうか。

実は、大手不動産会社が建蔽率・容積率オーバーの物件を敬遠するのには、明確な理由があります。

理由1:効率重視の営業スタイル

大手不動産会社は、基本的に「回転率」を重視します。

できるだけ短期間で成約できる物件を優先し、数をこなしていくスタイルです。

建蔽率・容積率オーバーのような特殊な物件は、説明も複雑で、買主探しにも時間がかかります。

そのため「時間がかかる物件は後回し」、あるいは「最初から断る」という判断になりやすいのです。

理由2:担当者の知識・経験不足

大手不動産会社の営業は、マニュアル化された業務を行うことが中心です。

一般的な物件の売買には慣れていても、建蔽率・容積率オーバーのような特殊物件への対応ノウハウがない担当者がほとんどです。

「こういう物件はどうやって売ればいいんだろう?」

担当者が上司に相談しても、「リスクがあるからやめておけ」と言われてしまう。

結果、お客様には「うちでは扱えません」と伝えることになります。

理由3:トラブルリスクを避けたい

大手不動産会社は、ブランドイメージを非常に大切にしています。

もし説明不足で後からクレームになったら?

契約後にトラブルになったら?

会社のブランドに傷がつくリスクを考えると、「リスクを取るより断る方が安全」という判断になるのです。

つまり、あなたの物件が悪いのではなく、扱える会社が限られているだけなのです。


建蔽率・容積率オーバー物件が売りづらい5つの理由

では、なぜ建蔽率・容積率オーバーの物件は売りづらいのか。

その理由を、一つひとつ詳しく見ていきましょう。

理由1:住宅ローンがほぼ通らない

これが最も大きな理由です。

建蔽率・容積率オーバーの物件は、ほとんどの金融機関で住宅ローンの融資が受けられません。

「消極的」というレベルではなく、ほぼ不可です。

メガバンク、地方銀行、信用金庫、フラット35…どこに相談しても、建蔽率・容積率オーバーの物件には融資してくれません。

なぜなら、金融機関は物件を担保として融資を行うからです。

違法建築の物件は、担保価値が著しく低いと判断されます。

最悪の場合、行政から是正命令が出て、増築部分を撤去しなければならない可能性もあります。

そんなリスクのある物件に、金融機関はお金を貸せないのです。

結果として、買主は現金購入できる人に限定されます。

住宅ローンを使って家を買おうとしている一般的な買主—市場の大部分を占める層—は、最初から対象外になってしまうのです。

理由2:売却価格が相場より下がる

住宅ローンが使えない=買主が限られる=売主の立場が弱くなる

この構図から、価格交渉でどうしても不利になります。

建蔽率・容積率オーバーの物件は、相場よりも大幅に安くなるケースが多いです。

立地が良くても、建物の状態が良くても、この影響は避けられません。

場合によっては、想定していた価格の半額以下になることもあります。

売主としては「こんなに安くしか売れないのか…」という現実に直面することになります。

「せっかく大切にしてきた家なのに」

「住宅ローンの残債すら返せない」

こうした経済的な問題と心理的なハードルが、売却を難しくする要因の一つです。

理由3:告知義務があり隠せない

「建蔽率オーバーのこと、黙っていれば大丈夫では?」

いいえ、それは絶対にできません。

建蔽率・容積率オーバーの事実は、重要事項説明で必ず告知する義務があります。

もし隠して売却してしまうと、後で大きなトラブルになります。

契約不適合責任(以前は瑕疵担保責任と呼ばれていました)を問われ、損害賠償請求や契約解除に発展する可能性もあるのです。

ですから、正直に伝える必要があります。

でも、正直に伝えることで、買主が離れていくのも事実です。

この「伝えなければいけないが、伝えると売れなくなる」というジレンマが、売却を難しくしています。

理由4:買主が限定される

住宅ローンが使えないとなると、買主は以下のような層に限定されます。

現金購入できる個人

  • リタイア世代で住宅ローンが不要な方
  • 相続などでまとまった資金がある方
  • とにかく安く家を買いたい方

ただし、こうした買主は市場全体の中では少数派です。

不動産投資家

  • 賃貸用として収益を重視する投資家
  • 利回り計算で判断するため、違法性よりも収益性を見る
  • 基本的に現金買い

ただし、投資家は物件を選びます。立地や利回りが合わなければ見向きもされません。

買取業者

  • 買い取った後、適法化するか賃貸に回す
  • ただし、さらに安い価格を提示してくる

このように、一般的な「マイホームを探している家族」には届かないのです。

「駅近で環境も良い家なのに、誰も見に来てくれない…」

こうした状況が続くと、売主は焦りと不安でいっぱいになります。

理由5:将来の建て替え時に制約がある

買主の立場で考えると、もう一つ大きな不安があります。

それは「将来、建て替えるときはどうなるのか?」という問題です。

建蔽率・容積率オーバーの建物を建て替える場合、当然ですが適法な建物にする必要があります。

つまり、今より小さい家になる可能性が高いのです。

「せっかく広い家を買ったのに、建て替えたら狭くなるの?」

買主がこのリスクをきちんと理解しているか、納得して購入してくれるか。

説明が複雑で、買主が二の足を踏む大きな要因になっています。


「売れない」わけではないが、売り方が重要

ここまで読んで、「やっぱり売却は無理なのか…」と思われたかもしれません。

ただ、建蔽率・容積率オーバーの物件でも、適切な方法で売却できるケースはあります。

私も、これまで建蔽率・容積率オーバー物件の売却をお手伝いしてきました。

しかし、一般的な売却方法では時間がかかる、または売れ残るのが現実です。

また、「高く売りたい」という希望を叶えるのは非常に難しいということも、正直にお伝えしなければなりません。

重要なのは、以下のポイントです。

  • 買主層を正しく見極めること
  • 現実的な価格設定
  • 物件の状況に応じた販売戦略
  • 特殊物件を扱える業者のネットワーク

でも、これが難しい

「どの買主層にアプローチすればいいの?」

「現実的な価格って、いくらなのか分からない」

「投資家や買取業者とのコネクションなんて、持っていない」

こうした疑問や不安があるのは当然です。

ここが、専門知識と経験の差が大きく出るポイントなのです。

一般的な不動産ポータルサイトに掲載するだけでは、適切な買主には届きません。

高すぎる価格設定では、いつまでも売れ残ります。

かといって、相場を知らずに安すぎる価格で売ってしまうのも問題です。

建蔽率・容積率オーバーの物件だからこそ、経験豊富な不動産会社に相談することが大切なのです。


こんな状況なら、特に注意が必要

以下のような状況に当てはまる方は、さらに売却が難航する可能性が高いです。

  • 急いで売却する必要がある(相続税の納付期限が迫っている、など)
  • すでに他社で半年以上売れ残っている
  • 複数の不動産会社に断られた
  • 相場価格での売却を期待している
  • 建蔽率・容積率がどれくらいオーバーしているか把握していない
  • 検査済証がない

これらに当てはまる場合は、一刻も早く専門的な知識と経験を持つ不動産会社に相談することをおすすめします。

時間が経てば経つほど、選択肢は狭まっていきます。


まとめ:建蔽率・容積率オーバー物件は、経験ある会社に相談を

建蔽率・容積率オーバーの物件は、確かに売りづらいです。

住宅ローンがほぼ通らない理由も、価格が下がる理由も、はっきりとあります。

大手不動産会社が敬遠するのも、無理はありません。

でも、「売れない」わけではありません。

大切なのは、こういった癖のある物件を扱い慣れた不動産会社に相談することです。

当社Room’sBar濱口では

  • 建蔽率・容積率オーバー物件の売却実績多数
  • 大手に断られた物件も数多く対応
  • 投資家や買取業者とのネットワーク
  • 物件の状況に応じた最適な売却プラン

「売りづらい物件だからこそ、経験と知識のある会社を選んでください。」

これが、私たちRoom’sBar濱口からのメッセージです。

こんな方は、ぜひご相談ください

  • 大手不動産会社に断られた
  • 建蔽率・容積率オーバーと言われたが、どうすればいいかわからない
  • 相続した実家が違法建築だった
  • 早く売却したいが方法がわからない
  • 他社で売れ残っている

まずは、お気軽にLINEでご相談ください。

次回は【癖あり物件シリーズ②】として、「再建築不可物件」について詳しく解説します。どうぞお楽しみに。