土地売却で“越境”が見つかったら?不動産取引を止めないための対処法
土地を売却しようとしたとき、思わぬ落とし穴になるのが「越境」です。
例えば「お隣のブロック塀がこちらの土地に少し入っている」「自宅の庇(ひさし)が隣の敷地に出ていた」など…。
こうした越境があると、買主や金融機関が慎重になり、取引が止まってしまうこともあります。
ですが、適切に対応すれば売却をスムーズに進めることも可能です。
この記事では、不動産仲介の立場から「越境が見つかったときの対応方法と注意点」を解説します。
越境とは何か?主な種類と原因
越境とは、土地の境界を越えて構造物や設備が隣地に入り込んでしまっている状態のことを言います。
よくある越境の例:
- ブロック塀やフェンスが境界を越えて設置されている
- 雨樋(あまどい)や庇(ひさし)が空中で越境している
- 基礎や植栽の根などが地中に越境している
原因はさまざまで、古い土地では口頭の取り決めや目測で境界を決めていたケースも多く、正式な測量がされていないことによるものもあります。
越境が見つかるタイミング
越境は以下のような場面で発覚することがよくあります:
- 売却前の現況測量・確定測量のとき
- 隣地所有者との境界立会いの場面で
- 買主がローン審査を進める中で、金融機関の調査により指摘されたとき
つまり、売主が越境の存在に気づいていないケースも少なくありません。
越境が取引に与える影響
越境があると、不動産取引は次のような影響を受けることがあります:
- 買主が「トラブルになるかも」と購入を躊躇する
- 金融機関が担保評価に慎重になり、融資が通りにくくなる
- 売却条件や価格交渉で不利になることがある
売主にとっては想定外の“リスク要素”として表面化することになるため、事前対応が重要です。
不動産仲介としての対処方法とアドバイス
越境が確認された場合、状況に応じて以下のような対応を検討します:
- 越境物の撤去(現実的に難しい場合もあり)
- 越境合意書・覚書を交わす
→ どのような構造物がどれくらい越境しているかを明示し、今後の使用や維持管理について隣地と合意して書面化します - 確定測量と境界の明文化
→ 越境状態も含めて将来の紛争を防ぐため、きちんと図面や書面に残しておきます
仲介としてのアドバイス:
- 測量時や媒介契約時に、境界・越境の確認をできるだけ早めに行う
- 売主には「黙って進める」より「先に説明して安心させる」姿勢が重要
- 状況に応じて測量士や司法書士、専門家との連携が必要になるケースも
まとめ
- 越境は売却を遅らせる原因になりうるが、事前対応すれば取引は進められる
- 測量と越境確認は「早め」が鉄則。書面化も忘れずに
- 仲介業者として、売主・買主双方が納得できる落とし所を見つけることがカギ
越境の可能性がある土地や古家付き物件をお持ちの場合は、ぜひお気軽にご相談ください。